Aerobatics Japan Gp.

アエロバティクス日本グランプリ

航空ショーの曲芸飛行ではなく、
空のバレエまたは空のフィギュアスケート呼ばれる芸術競技。
技の難易度と、芸術点(音楽との同調)などで勝敗が決まります。


世界を転戦していて、毎年11月最初の週末に
栃木にある”ツインリンク茂木”(ホンダのサーキット)で日本グランプリが開催されています。

オートボルテージュのHPへ
イベント主催団体「オートボルテージュ」のHP

世界各地で行われている試合の写真・ビデオ・結果を見ることができます。
オートボルテージュとは、「最高の飛行技術」という意味らしいです。



茂木の大会は、ほぼ毎年スケジュールが同じです。

金曜:公開練習&エキシビション
土曜:決勝一日目&エキシビション。
日曜:決勝二日目(スーパーファイナル)&エキシビション。

決勝一日目と二日目は同じ演技を行い、2回の演技の合計得点で勝者を決めます。

 


雨で中止、曇りは面白みが半分以下というこの競技。

青空が必須なのです!


2002年の3日目は天気に恵まれて青空!
サーキットのメインスタンドで大勢の人が始まりを待つ


使用するのは、 専用開発されたプロペラ機(数社が製造している)。
これを使って、空で演技をするのです。

自衛隊(ブルーインパルス)や米軍のジェット機による曲芸飛行と違って、、
プロペラ機なのでサイズが小さく、速度も遅いので、観客との距離が近い!
時には、観客の目線以下を飛ぶことも!

<ルール>

会場上空に設定された「1km四方」(縦・横・高さ=1kmx1kmx1km)の中で
音楽に合わせて、様々な技を繰り出す。エリアから、はみ出したら減点!

演技は、滑走路から飛び立ち、エリア上空に到達後、
機材の最終点検&エリア確認の時間が与えられます。


パイロットのタイミングで、演技が始められるように考慮されていて、
用意ができたら、翼を左右に大きく3回振って審判に合図。

同時に曲が始まり、ここから3~4分間が演技の時間
演技が終わったら、再び翼を3回振って、演技終了の合図。

この数分間、曲に合わせて様々な技を繰り出します。
スモーク(白煙)は、スイッチで自在にON・OFFできるようになっているそうで、
演技に応じて、途中で止めたり、また出したり、、と、各自こだわりがあるようです。


ソロ演技の部と、複数の部があり、
ソロの3~4分に比べ、複数は、約10分という長い競技時間です。
しかも複数の部は、2機でも4機でもOK!


宙返りなんて技に入らないレベル。
急上昇して速度が0になり、、、脱力?して落下。。
その時が技の見せ所、ヒラヒラ落ちて来る途中に回転、ひねり等等、、、

TailSlide
脱力技の定番、TailSlide(テイル・スライド)
垂直上昇した後、速度が遅くなり、、お尻から、ヒラヒラと落ちてくる!
失速→墜落のような動きですが、このあと、ちゃんと通常飛行に戻ります。
こんな技のオンパレードなので、飛行機の姿勢と進行方向が合わない事がしょっちゅう!
この写真は、キャパニナさんというロシアのお母さんです。


競技も良いけど、競技終了後、ご挨拶があります。
フィギュアスケートだと「手を振りながらリンクを一周」ですが、
茂木のアエロバティックスでは、観客席の目の前を超低速飛行が定番のご挨拶!

ご挨拶1
ご挨拶のために低空でグランドスタンドに向かってくるユルギス・カイリス

ご挨拶2
スモーク出しながら、横向きに低速飛行(ナイフエッジという技)でご挨拶!

ご挨拶3
この距離で飛んでくれると、パイロットがよく見えます。

手を振ってくれるパイロットもいたり、楽しい時間♪

2006年のピーター・ベゼネイさんの「ご挨拶」をデジカメの動画機能で撮ってみた。
動画は難しいね。。。とりあえず、下をクリックしてみて

2006年ピーターのご挨拶(wmv形式)

飛行機が、これだけ近くを、こんなにゆっくり飛ぶんですよ!
(こちらもナイフエッジで客席前を通過)


ここからは、個人的に好きな選手を勝手に紹介!



ユルギス・カイリス

怪物

リトアニア人。
最近の常勝ぶりから、「帝王」と呼ばれる。
リトアニアのすべての橋の下をくぐる!という技を披露し、国民の英雄に!
日本好きで、富士川飛行場で練習したり、日の丸ハチマキしてたり。

Su-31という最強パワーの飛行機を、
さらにハイパワー化した「怪物」という銀色の飛行機に乗ってる。
(9気筒10Lエンジンで400馬力以上?) その後、「空賊」に改名。
最近では、自分で開発したJukaという飛行機もあるが、まだ日本には持ってきていない。
怪物
「怪物」に乗り2002年の茂木で優勝したユルギス

2006年の茂木大会は、怪物(Su-31)ではなく、
日本人パイロット「室屋さん」の
Su-26(赤白のハミルトン時計のデザイン)で出場し、 見事な優勝!

残念ながら2007年大会には来日しませんでした。。。

演技の最初に見せてくれる得意技が、
カイリス・ホイールと呼ばれる、超高速スピンでの急降下!

空の高い所から一気に急降下!
ものすごい勢いで旋回!電話のコードみたい・・・・
で、地上近くでまた急上昇。。。相当のGがかかっているはず、、

コブラ
プロペラ機では、ユルギスしかできない?力技。
普通に飛んでいるところから、突然、上を向いてその場に停止する!

ヘリコプターというか、、タケコプターでもついている感じ。。
前に進んでないと落ちてしまうという飛行機の常識を完全無視!
日本では、大好物の名前をとって「ヤキトリ」と技の名前を変えています。
コブラ


ユルギス
室屋さんの Su-26で、 手の届きそうな近くを「ご挨拶飛行」するユルギス。(2006年)
写真では、風防が反射してしまいましたが、手を振っているのが見えました!
垂直尾翼を右に曲げて、横向きのまま飛んでいく~ 

ユルギスは、日本語のHPを持っています。
Movieのコーナーにある、ユルギスの得意技「コブラ」(ヤキトリ)の動画は必見です!
ユルギスのHPへ
 ↑ ぜひ、覗いてみてください!


ピーター・ベゼネイ

スーパーマリオみたいな髭のハンガリー人おじさん。

ピーター
2002年の茂木では、赤く塗られたエクストラ300Sで出場。

エクストラ300Sという、ドイツ製の小回りの利く飛行機で
"この人だいじょーぶ?"というようなキレた飛行が楽しい!
演技用の選曲も好き!(でもオリジナル曲らしく、CD入手できません。。。)

ピーター
あなたはどっちの方向に飛びたいのか??と聞きたくなります。。
2006年は、栄養ドリンク「RedBull」カラーの青&シルバーのエクストラ300S。

2006年秋には、NHKの「英語でしゃべらナイト」という番組で水泳の田中雅美と対談。
「この筋肉は、ウエイトトレーニングでつけているんですか?」
「いえ、釣りと切手収集が趣味なので。。」
 という、素敵なボケも披露してくれています。

しゃべらナイト
こーやって見ると、プロペラがデカイ!!

2007年は、Red Bullがスポンサーしている
プロペラ機でのスピードレース「Air Race」で、優勝争いをしているため、
残念ながら茂木は欠場でした。(エアレース最終戦と日にちが重なってしまったので)

ピーター
2006年の茂木は、3位。
表彰式後に、銅メダルを下げて歩いているところをカメラ目線でパチリ!

クラウス・シュロット

還暦を迎えたドイツのおじさま。
ルフトハンザ航空のパイロットでしたが、今は引退し、アエロバティックスに。
メガネと大きな体の通り、飛行も温かさが出ています。

シュルト
ドイツの ストック(杖)メーカーのLEKIがスポンサーらしく、あちこちにロゴがありました。

シュロットさんの得意技は、、、、一人で描く、「ブロークン・ハート」
ハート1
演技時間開始と同時に、 まずは一人でハートを描き、、、

ハート2
その後、真ん中にヒビを描きいれます!

それなりの時間がかかる作業ですが、演技時間中にやってくれます。
競技の採点には、関係ないことなのに、、、観客重視で好きです!

2006年は、輸入トラブル?で、自分の飛行機エクストラ300Sが届かず、
ピーターから、2座のエクストラ300L(Red Bullカラー)を借りて出場!
二人乗りの後ろの席に座っての演技。(前席は空席)
おや、手を振ってくれていますね!
シュルト

慣れない飛行機&2人用の重たい機体というハンデをはねのけて、見事な銀メダル!
シュルト
何度も、ご挨拶をしてくれました!


室屋義秀(むろや・よしひで)

2006年までは、Su-26に乗っていましたが(ユルギスに貸してた飛行機)
2007年度からは、ピーターと同じRedBullカラーのエクストラ300Sに。

日本人パイロット室屋さん

ユルギスが来日しなかった2007年大会。
ユルギスがやるように高速スピンで演技を始める飛行機が!


曲はHONDAのCMでおなじみ「日曜日よりの使者」
室屋さんだ!!














日本人が飛ぶのはウレシイ!
これからは、毎年お願いします!!


マタドールズ

マタドールズ
青いSu-26に乗るイギリス人の2人組。
普段は、二人ともブリティッシュ・エアウェイズのパイロット。
この2人の飛行中の近接度は、怖いぐらい!(数十センチとか?)
マタドールズ・近接
ライバルの4人組「フライング・ブルズ(空飛ぶ牡牛)」に勝つために、
「マタドールズ(闘牛士)」というチーム名に改名したのは有名な話。

マタドールズ
でも、最近はRedBullエアレースに、それぞれソロで出場しているため、
飛行機の裏面には、大きくRedBull(赤い牡牛)が!! 良いのか??
レッドブル・マタドールズ
2007年は、エアレースで優勝争い中なので、茂木には出場せず。残念!

RedBullが主催する「空のF1」と呼ばれるスピード競技「エアレース」
勝つためには急旋回など、技が必要なのでアエロバティックス選手が上位を占めてます。

2007年の エアレースの年間成績では、
マンゴールドが優勝!
マタドールズのボノムが2位
ピーター・ベゼネイが3位
チャンブリス(アメリカのアクロバットチャンピオン)が4位で
マタドールズのジョーンズが5位。

マタドールズの2人が、レースでも2位と5位!
それぞれが、一流選手の「マタドールズ」。今後も注目です。

マタドールズ・ハート1
2機そろっての垂直上昇

マタドールズ・ハート2
スモークを出して、それぞれ反転

マタドールズ3
大きな弧を描いて、下降

マタドールズ・ハート4
下で交差して、ハートの完成!
残念ながら、曇り空。。。晴れていればなぁ~

バタフライ
2006年の茂木で練習中、突然思いついたという新技「バタフライ」
それぞれが、違う方向に機首を向けながら、近接飛行!

新技「バタフライ」での”ご挨拶”を、デジカメの動画機能で撮影。
上の写真よりも、彼らの技の凄さが分かっていただけるかと思います!

マタドールズによるバタフライでご挨拶(wmv形式)




フライング・ブルズ

チェコの4人組。
リーダーは、なんと女性「ラドカ・マコバ」
飛行機も、チェコ製。ズリン50LXという旧世代の飛行機。
表がシルバー。裏が青で、4機で飛んでいると非常にきれいです。




2機が表で、2機が裏。キレイデス。

ブルズの得意技。
通常飛行のすぐ上に、背面飛行。


そこにもう一機が絡んできて、、、



周りをグルングルン回る!














もう一機は、どこへ??
少し離れたところを、演技と関係なく、飛んでいるのであります。。






4機はきれいだな~



2001年大会で、Su-26のオンボードカメラ越しに、観客席に投げキッスをして、
おじさま方を悩殺したロシア美人スベトラナ・キャパニナ
2007年、6年ぶりに茂木に!
薬剤師であり、ママであり、アエロバティックスの優勝者でもあるのです!




翼には大きく、BORN USSR(ソビエト連邦 生まれ)







 

 

2006年に茂木初出場のアメリカ人マイク・マンゴールド
2007年はエアレースで総合優勝!(そのため茂木は欠場)
茂木に来た時は、演技前のエリア確認飛行中に、突然、お絵かきが始まりました。

mike1
大きな丸を空に描きましたよ!(まん丸を描くのは意外と難しいらしい)

mike2
で、ちょん、ちょん、と。

mike3
SMILE!
会場からは、歓声と拍手!(まだ演技前なんですけど。。)

また、日本に来てくださいね!

 

 

マタドールズが来日できなかった2007年。
2人組は、南アフリカからMAZDAチームが来ました。
この二人も、普段は旅客機のパイロット。
Hondaのサーキット茂木で、マツダのCMソング「zoom-zoom」で踊って行きました。




青い飛行機と黄色い飛行機。息が合っています。

ご挨拶の時。
おや?この角度での進入は、、、!!



前年にマタドールズが考案した、バタフライ!

 

 

 

2007年。他の飛行機と比べ、明らかに全長の短い黄色い飛行機がいました。
翼の幅が広くて、ウエスト?部分がずいぶんと短い・・


やたらと小回りで、クルクル飛ぶ。エクストリーム3000という飛行機らしい。







操縦していたのは、ドイツ人のフィリップ・スタインバッハ
なんと、このXTreme3000という飛行機を設計した人!!

 

 

白いSu-31に乗る、ビクトル・チュマルは、ロシアの代表。



宙返りをしたと思ったら静止! Su-31はパワーがあります!


 

Su-26に乗るロシアの女性、スベトラナ・フェデレンコのご挨拶飛行。




98年頃から茂木で開催されるようになり、
2003年は、練習中に事故があり(パイロットは怪我をしたが無事だった)開催が当日にキャンセルに。

ホントなら、この年、エアレースの模擬レースがあるはずだった。。。

幻となった2003年大会の公式ガイドブック


事故以来、しばらく開催されていなかったが2006年に復活!
2007年は、オーストラリアのエアレースと開催日が重なってしまい、大御所が来日しませんでしたが、
日本人パイロット「室屋さん」が飛んでくれて感動です!

とにかく、一見の価値アリ!な、イベントなのです!

来年は、エアレースも開催してくれないかなぁ~   

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